業種
教育サービス
従業員数
1名

株式会社TripleWinは2011年創業。
学習塾向けコンテンツ開発やオンライン質問対応サービスなど、教育サービスを多角的に展開する。代表の長澤氏自らが実践したコンサルティングセールスの手法で、前期比70%増となる売上1億2,000万円を見込む。
少子化で縮小する教育市場で、いかにして成長を実現したのか。本記事では、具体的な成果を提示した後、「なぜ実現できたか」を解説する。
インタビュー対象者
長澤 大輔(代表取締役社長)
株式会社TripleWinの共同創業者であり、2017年より代表取締役社長を務める。
学習塾業界で教室責任者・運営部長として実績を重ね、組織拡大と教育事業の成果創出を牽引。

この記事で学べること
少子化で縮小する市場において、前期比70%増の売上成長と経常利益率40%を実現した方法
高単価な提案を自身を持って実践した方法
経営者自らが体現し、企業の業績を上げるための具体的な方法
少子化で縮小する教育市場。研修事業の価値を適切に伝えられない課題
-カクシンに支援を依頼する前、どのような課題を抱えていましたか?
長澤氏
私が学習塾業界で働き始めた2008年頃と比べて、子どもの数は劇的に減少しています。私の年代、いわゆる団塊ジュニア世代は全国に200万人以上いましたが、今の中学生は110万から120万人程度。去年はついに出生数が70万人を切りました。
パイが減少する中で、以前のように「ガサッと取って、満足度が低くても辞めたらまた新しく取ればいい」というビジネスモデルは完全に通用しなくなったんです。これからは、入会した生徒に長く通ってもらい、LTVを最大化する戦略しかない。
そのためには、講師のコミュニケーション力や面談力を底上げする必要がある。実際、私は30年この業界にいて、高校生部門に特化して独立している人間は自分以外に会ったことがないんです。つまり、そのノウハウを求めている塾は多いはずだと考えました。
-研修事業は以前から手がけていたのですか?
長澤氏
はい、コンサルティングサービスの一環として社員研修も提供していました。ただ、「おまけ」程度の位置づけで、大した金額も取っていませんでした。交通費だけもらって、ほぼ手弁当で研修を行っている状態だったんです。
研修の価値を適切に伝えられていなかったんですね。自分の中では「これだけの価値がある」と漠然とわかっていても、言語化も体系化もできていませんでした。
-カクシンに支援を依頼しようと思われた理由は何ですか?
長澤氏
知人の紹介がきっかけです。正直、最初は「面白そうだな」くらいの軽い気持ちでした。具体的に何をやるのかも詳しく聞いておらず、やってみたら結構大変だったというのが率直なところです(笑)。
ただ、学んでみると新しい視点や刺激が多く、自社にも還元できると確信しました。特にコンサルティングセールスという考え方は、自分がなんとなくやっていたことを体系化してくれるもので、「こういうことだったのか」という発見が多かったですね。

インタビューに応じる長澤氏
売上70%増、経常利益率40%を見込む。人員増なしで収益性大幅改善
-具体的にどのような成果が得られましたか?
長澤氏
具体的な数字で言うと、前々期(2023-2024年)の売上が5,200万円、前期(2024-2025年)が7,200万円で38.5%増でした。今期(2025-2026年)は1億2,000万円を見込んでいるので、前期比70%増になります。
さらに重要なのは利益率です。前々期の経常利益率は11.3%、前期が16.4%、今期の予想は40.0%。研修事業の単価が大幅に上がったことが大きく影響しています。
-予想外の効果はありましたか?
長澤氏
実は、社員は一人も増やしていません。役員3名、正社員1名、あとは業務委託とアルバイト・パートで運営しています。
カクシンを見ていて感じたのは、少数精鋭でも十分に成果を出せるということ。人数がいないとできないビジネスモデルを作ってしまうと難しいだろうなと思っていました。
だから、今のリソースで売上を上げて、なおかつ利益をしっかり稼げるものは何か、とずっと考えていました。その答えが研修だったんです。高単価で、属人性を活かせて、労働集約的になりすぎない。

大きな成果を上げたTripleWinの直近3年の業績
バリューテンプレートで「機会損失4億円」を可視化。研修価値の言語化に成功
-具体的にどのような取り組みをされたのですか?
長澤氏
カクシンのプログラムで徹底的に学んだのは、自社サービスの価値を数値で示す方法です。特に「バリューテンプレート」という考え方が効果的でした。
学習塾の課題を整理すると、少子化で生徒数が減る中、新規入会を増やすより既存生徒の退会を減らす方が重要です。ところが多くの塾は、どれだけの生徒が辞めているか、それによってどれだけの機会損失が発生しているかを把握していません。
そこで私は、クライアントの学習塾に対して、退会率を10%改善できたら、入会面談の成約率を向上できたら、口コミが1教室あたり3件増えたら——それぞれどれだけの売上インパクトがあるのかを、一緒に計算するワークショップを実施したんです。
-どのような反応がありましたか?
長澤氏
社員100人規模の学習塾で実際にこのワークを行ったところ、経営陣は驚愕していました。入会に関する数字は当然把握しているんです。「何人生徒が増えればいくら売上が上がる」という計算は皆やっている。
でも、退会に関してはどんぶり勘定なんですよね。自分たちがどれだけの機会損失を出しているか、まったく把握していない。実際に計算してみたら、退会率を10%改善するだけで、2年分の売上換算で4億2,500万円の機会損失を防げるという結果が出たんです。
そこで私は「この研修を5,000万円で提供しますが、いかがですか?」と提案しました。すると即決で「やります」と。
-5,000万円の研修を受注されたんですか?
長澤氏
はい。さらに、助成金を活用できるスキームを組み込むことで、クライアントの実質負担を大幅に軽減できました。このスキームは、カクシンで学んだものを学習塾業界向けにアレンジしたんです。
これまで「研修もやりますよ」程度だったサービスが、明確な価値とROIを示すことで数千万円規模の商談になる。この変化は本当に大きかったですね。

実際に長澤氏が提供している研修のバリューテンプレート
-バリューテンプレートを作る価値は何ですか?
長澤氏
バリューテンプレートの価値は、単に営業資料ができることではありません。重要なのは、自分たちの仕事にこれだけの価値があるんだと心から思えるかどうかです。
私自身、30年近くこの業界にいて、なんとなく「この仕事には価値がある」と感じていました。でも、それを明確に言語化し数値化できたことで、「自分たちはこんなに価値のあるサービスを提供しているんだ」と確信を持てるようになったんです。
すると、不思議なもので売りたくなるんですよ。広めたくなる。この感覚はとても大切だと思います。
-クライアントの学習塾にも同じような変化がありましたか?
長澤氏
はい。研修の中で、塾の先生たちにも同じワークをやってもらうんですが、皆さんの表情が変わるんです。「私たちの仕事ってこれだけ価値があるんだ」「生徒の人生を変えられる仕事なんだ」と再認識する。
多くの人は、自分の仕事の価値を数値で換算する視点を持っていません。でも、自分の仕事にこれだけの価値があるとわかったら、仕事が楽しくなりませんか? そういう変化を目の当たりにするのは、本当にやりがいを感じる瞬間ですね。
経営者自らの実践と業界知見の掛け合わせ。「やらざるを得ない」環境づくり
-研修を受けても実践できない、もしくは実践しないという企業さんもいる中で、なぜ長澤さんは実践できたのでしょうか?
長澤氏
率直に言うと、経営者だからだと思います。やらなければ会社が潰れますから(笑)。サラリーマンなら会社が潰れるわけではないので、「いい話を聞いた」で終わってしまうことも多い。
でも私は自分の会社です。売上を上げなければ誰も助けてくれない。だからカクシンのプログラムを受けている間、必死に動画を見て、必死に勉強して、「じゃあ実践してみよう」と自然に動けました。
もう一つ大きかったのは、30年間この業界にいて、学習塾のボトルネックがどこにあるか把握していたこと。カクシンで学んだ「型」と、自分の業界知見を掛け合わせることができたんです。
-研修を受けるだけという人たちに必要なものは何でしょうか?
長澤氏
役職者や経営者がしっかりプレッシャーをかけることと、「やってみたらこんなに変わる」という体感を持ってもらうことだと思います。
本当は上司、つまり経営者自身がやればいいんですよ。「俺もやってみたけどさ」と言えるのが一番説得力があるじゃないですか。社員にやらせるだけじゃなくて、自分がちゃんとやる。それが中小企業では特に重要だと思います。
-バリューテンプレートで出てくる価値の数値化は、商品・サービス企画者や経営者でないと難しいのでしょうか?
長澤氏
少なくとも中小企業では、商品企画は経営者の仕事だと思います。どんなニーズに対して、どんな価値を提供するか。これは企画の話なので、作った本人でないと価値を数値化するのは難しい。
例えば、私が社員の立場で「この研修には4億2,500万円の価値がある」と社長から言われても、100%腹落ちして営業で話せるかというと、そうじゃない気がするんです。
だから中小企業で億単位の商談をするなら、社長がトップセールスをするしかない。
トップセールスをいかに現場に落とし込むか。まずは社長自らがきちんと言語化するところから始まると思います。

セミナーで講演する長澤氏
外部支援による営業の言語化と体系化の価値
-外部の支援を受ける価値はどこにありますか?
長澤氏
私の業界で言えば、言語化と体系化ですね。学習塾業界は職人文化なんです。寿司屋さんや大工さんと同じで、「見て覚えろ」の世界。研修なんて絶対やらない。
なぜそうなるかというと、言語化できないからです。本当は言語化すれば体系的に学べるはずなんですが、それができない。ホリエモンが「寿司屋の修行なんていらない。3ヶ月動画で勉強すればいい」と言って叩かれたりしますが、あれに近い文化があるんです。
私も30年この業界にいて、なんとなくわかっていることはたくさんありました。でもそれを言語化できていなかった。カクシンのプログラムを通じて、自分の暗黙知を体系化し、人に伝えられる形にできた。これが大きな価値でした。
-どのような企業にカクシンの支援がフィットすると思いますか?
長澤氏
危機感がある会社ですね。「このままじゃヤバい」と本気で思っている経営者がいて、その経営者自身が動こうとしている会社。
私が支援した学習塾の社長もそうでしたが、自分たちで変わろうと必死になっている人たちには効果が出ます。逆に、会社の規模が大きく、現状でも何とかなっている企業だと、腰が重くなりがちです。
ただ、業界を問わず応用できると思います。私は教育業界ですが、カクシンで学ぶ他業界の人たちを見ていても、基本的な考え方は同じです。自社サービスの価値を数値化して伝える——これはどんな業種でも使える手法です。
-これから依頼を検討している企業に何かアドバイスはありますか?
長澤氏
とにかく実践してください。学ぶだけでなく、自社の商材やサービスに置き換えて、実際にお客さんに当ててみる。そこまでやって初めて成果が出ます。
できれば経営者自身が一番勉強して、一番実践してください。社員にやらせるだけではダメです。自分がやって、「こうやったらうまくいくぞ」と示す。それが中小企業では特に重要だと思います。

クライアント企業での研修風景
今後の展望
-今後、どのような展開を考えていますか?
長澤氏
今の研修は対面で実施していますが、これを動画コンテンツ化しようと考えています。5,000万円、6,000万円を出せる塾はそう多くないので、もっと安く、もっと多くの塾に届けられる形にしたい。
動画で学んでもらい、1時間のセッションを行うスタイルにすれば、手離れよくできますし、提供先も増やせます。今まさにそのコンテンツを制作しているところです。
-学習塾業界全体に対する想いもあるのでしょうか?
長澤氏
はい。子どもの数が減っていく中で、業界は確実に厳しくなります。でもなくなりはしない。淘汰されるのは、必要とされない塾だけです。
私がやりたいのは、数年後、数十年後も、この業界がちゃんと市場に受け入れられている状態を作ること。教育ビジネスには、金儲けのためだけに参入してくる人たちもいるんです。「教育を語っとけば高尚な感じになる」という感覚で。
でもそうじゃなくて、志を持っている人たちが、ずっとしっかりやれる業界にしたい。そのために何ができるか、を考え続けています。30年近くこの業界にいるので、何かしら還元しなきゃという想いもありますね。
-今回のプロジェクトで得た学びをどう活かしていきますか?
長澤氏
バリューテンプレートの考え方は、私が提供する研修にも組み込んでいます。学習塾の先生たちに、「あなたたちの仕事にはこれだけの価値がある」と伝えています。
例えば、夏期講習を売るとき、普通は「こういう内容で、これだけ成績が上がります」という特長しか言わない。でもそうじゃなくて、「これを受けることでお子さんがどう変わるのか」「夏休みが終わったら、こんなお子さんの顔を見てみたくないですか」——そういう利点をちゃんと伝えられれば、それが価値になる。
自分が学んだことを業界全体に広げていく。それが私の役割だと思っています。
音声解説
Audio created with NotebookLM by Google.
@KAKUSHIN Inc.